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第10回事業再構築補助金【事業再構築指針について】

 3月30日に第10回事業再構築補助金の公募が開始されました。今回から大きく制度が変わります。複数回に分けて解説していきますので、どうぞご確認ください。今回は「事業再構築指針」についてです。
  事業再構築指針とは、事業再構築補助金の中で言っている「事業再構築」とは何かを定義したものです。事業再構築補助金に申請するためには、この定義に当てはまる事業計画を認定支援機関と策定することが必要です。



事業再構築補助金事務局発信資料
・事業再構築指針

・事業再構築指針の手引き


 この事業再構築指針が、第10回から一部変更になっています。第9回まであった、新分野展開と業態転換がいっしょになり、新市場進出という項目となりました。また新たに国内回帰という項目が加わっています。

 従って第10回から、事業再構築指針の中で定義される事業再構築は、「新分野進出(新分野展開、業態転換)」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」のことを言います。

 まずは新分野と業態転換が統合された「新市場進出」についてです。事業再構築補助金の中で定義している「新市場進出」とは、主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等して、新たな市場に進出することを言います。
 要するに主力となる事業を変更はしないけれども、新しい製品の製造及びサービスを開発し、既存事業ではターゲットにしていないお客様にその製品やサービスを販売することです。

例えば、日本料理店が新たにオンラインの料理教室を始めるといたします。主力となる事業は日本料理店であるという前提でお話をします。この場合、料理の提供からオンラインを通して料理を教えるという新たなサービスを開発していること、また既存事業の日本料理店の顧客は店舗で飲食をする方であるのに対し、新しいサービスであるオンラインの料理教室の顧客は料理を学びたい方であり、顧客の対象が明確に違います。

 ここでいう新しい製品の製造、新しいサービスを開発して販売する取組みとは、事業再構築に取組む事業者自身が全く初めて実施することをいい、世の中において初めて行うことということではありません。

 またもう一つ求められることとして、この補助金を申請するにあたり、3~5年間の事業計画を立てる必要があるのですが、その事業計画終了後に、その新しい製品もしくは新しいサービスの売上高が会社全体の売上げの10%、付加価値額で図るなら総付加価値額の15%以上となる計画を立てる必要があります。

 

 次に「事業転換」ついてです。「事業転換」とは、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること、これまで行ってきた事業と新しい事業の顧客層が変わっていること、そして3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、会社の売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定していることを言います。

例えば、日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされる焼肉店を 新たに開業します。さらに3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、 最も高い事業となる計画を策定しているとします。この場合、専門料理店という業種は変わっていませんが、日本料理店とは異なり、またこれまで全く行ったことがない焼肉店を運営します。さらに日本料理店と焼肉店では、お客さんが求める料理やサービスが違います。そして会社の売上高の構成比で一番多く占めるのが、日本料理店から焼肉店に変わっています。従ってこの取組みは、事業再構築指針でいう「事業転換」に当たります。

 

次に「業種転換」についてです。「業種転換」とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指し ます。主たる業種を変更するというのは、3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する業種が、会社全体の売上高構成比 の最も高い業種となる計画を策定することを言います。

 例えば、レンタカー事業を営んでいる事業者が、新たにファミリー向けのコロナ対策に配慮した貸切ペンション を経営することを考えたとします。その計画は3年間の事業計画期間 終了時点において、貸切ペンション経営の売上高構成比が最も高くなるように策定しているとします。

 この場合、その事業者が過去に貸し切りペンションの経営をしたことがないこと、また既存事業であるレンタカー事業の顧客層と貸し切りペンションの顧客層は違うこと、そしてレンタカーは「不動産業、物品賃貸業」であり、ペンション経営は「宿泊業, 飲食サービス業」と業種が違います。従ってこの取組みは、事業再構築指針でいう「業種転換」に当たります。

 次に事業再編」です。「事業再編」とは会社法上の組織再編行為等を交付決定後に行い、新たな事業形態の もとに、「新市場進出」、「事業転換」、又は「業種転換」のいずれかを行うことを言います。
 ここでいう組織再編とは、「合併」、「会社分割」、「株式交換」、「株式移転」又は「事業譲渡」等を言います。補助金の交付決定が下りる前に「合併」などの事業再編を行って新市場進出、事業転換又は業種転換を実施した場合は、この定義には当てはまりません。


 最後は事業再構築指針で今回新たに設けられた「国内回帰」についてです。「国内回帰」とは、海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する 国内生産拠点を整備することを指します。 また3~5年間の事業計画期間終了後、本事業により製造する製品の売上高が会社全体の売上高の10%又は付加価値額で図る場合には、総付加価値額の15%以上となる計画を策定することが必要です。 なお、「国内回帰」と言っていますが、海外の生産拠点を閉じることまで要件として求めておりません。 

 「国内回帰」に該当するためには、海外で製造・調達している製品について、国内で生産拠点を整備する必要があります。 ただし、中小企業等が取引先から要請を受けて、取引先が海外から調達している製品を製造する生産拠点を国内で整備する場合も、取引先が当該部品 を海外から調達していた実績を証明することが出来れば、特例的に対象とみなされます

 また導入する設備については、先進的な設備であることが求められます。既存設備と同程度の設備で製造することは、製造方法が先進的であるとは言えません。 補助事業により導入する全ての設備が特注品又は製造機器メーカーの最新カタログに掲載されているものであることを事業計画等で示す必要があります。また事業計画の中で性能や効能を定量的に説明することで、生産性や付加価値向上等の導入効果があることを示すことも求められています


 例としては、取引先である半導体製造装置関連の大企業が、海外サプライチェーンを見直し、従来、 海外の取引先に依頼していた部品について、国内調達に切り替えるため、申請者である国内事業者に生産を要請したとします。 その依頼を受けた申請者である国内事業者が、新たに日本国内に生産拠点を新設し最新鋭の設備を導入、3年間の事業計画期間終了後、 会社全体の売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上を占める計画を策定している場合に、「国内回帰」の定義に当てはまります。ただ、取引先が当該部品 を海外から調達していた実績を証明する必要があります。

 

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この記事を書いた人

津谷川 匠

津谷川 匠

株式会社コムラッドファームジャパンが提供する「補助金の右腕」サービスのサービス開発責任者。「補助金の右腕」TwitterやYouTubeチャンネルの中の人。中小企業が活用できる補助金について日夜研究をしている。中小企業診断士。

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