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補助金の右腕

事業再構築補助金における審査項目の見直しについての考察

第10回の事業再構築補助金から審査項目の大幅な見直しが行われました。
補助金はこの審査項目に照らし合わせて審査が行われるため、審査項目を理解していなければ採択されることはありません。

 

今回の審査項目の見直しは、かなり大きな変更となりましたので、従来通りの事業計画書の書き方では事業再構築補助金に採択されるのは難しくなります。

 

では、どのように対応すればいいのでしょうか。

 

もちろん新しい審査項目に合わせて事業計画書を作っていけばいいのですが、単に表面的な変更に留まらず、審査項目が見直された背景を考察することで、何を書くことが求められているのか見えてきます。
背景を踏まえて書く内容をまとめていくと、より採択される可能性が高くなりますので、今回はその考察を掲載したいと思います。
※記載している考察はあくまで弊社の独自見解となりますのでご注意ください。

 

1、新規顧客層への展開が必須となった。

再構築指針の見直しにより、新規顧客層への展開が必須となりました。
この変更により、事業は新しいけれど既存の顧客層に提供するというストーリーが一切NGとなりましたのでご注意ください。

 

なぜこのような変更がなされたのでしょうか。
従来は、シナジーがあって事業計画書に記載されていれば既存事業への利用も認めていた事務局なのですが、ある時を境に交付申請において補助事業で購入する設備を既存事業に利用することを完全NGとするようになりました。(補助金ルールに照らせば既存事業への流用がNGなのは当然なのですが、、、、)

 

このルールを徹底させるため、申請の段階で新規顧客層への展開を必須とし既存事業への設備流用をできない状況を作ったものを想定されます。

 

とにかく顧客層が完全に変わるということをしっかりアピールしないと、どんなに良い事業内容であってもおそらく足切りで不採択となりますのでご注意ください。

 

2、SWOT分析を行い複数の戦略から1つ選択することを求められるようになった

審査項目の「再構築点①」に「自社の強み、弱み、機会、脅威を分析(SWOT分析)した上で、事業再構築の必要性が認識されているか。また、事業再構築の取組内容が、当該分析から導出されるものであるか、複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか。」という項目が加わりました。
ここで特に重要なことは、「複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか。」という点です。

 

従来の申請書でもSWOT分析くらいは記載している方が多かったです。
しかし、分析結果から再構築事業の取り組みを複数導き出し、その中で最適なものを1つ選ぶような書き方をしている方はいなかったと思います。
今回からは、「A、B、C、Dという再構築事業の候補があるけど、その中でXXという理由でAが最適であるためAを行うことにした。」という記載が必要となりました。

 

こちらは、これまでの採択者の中で、採択はされたけど交付申請の段階で辞退する事業者が増加。そもそもやりたいことを申請しただけで、事業の検討がしっかりとなされていないところが多く途中で辞めるような事態を防ぐために、この審査項目が追加されたものと考察されます。

 

正直、補助金申請される方は「やりたいこと」が先にあって、どうにかそれを補助金を使ってやれないかと考える方が大半です。
その考え方そのものは否定することはできませんが、今後、事業再構築補助金の申請にあたっては、他に考えられる取り組みはないのか、本当にその事業をやりたいのか、やりきることができるのかを、申請書作成というプロセスを通じて考えることが求められているのではないでしょうか。

 

3、差別化戦略についてより具体的な記載が求められるようになった。

従来も競合他社との差別化は審査においてチェックされていましたが、これまで以上に具体的な記載が求められるようになりました。

 

これは、再構築補助金において類似の案件が多数申請され採択されている実態への警告ではないかと想定しています。
ある特定業種においては、相当数の再構築補助金が交付され乱立状態になっています。そのため、事業が成り立たず廃業するところが増えるのでは、とも言われています。

 

同じような事業は審査でより厳しくみる、他社とどのように差別化しているのかをより具体的に記載させることで類似事業との違いを見ていく、というメッセージだと思います。
採択されるためには、差別化については、とにかくより具体的に書くことが必要です。

 

4、中長期の課題を求められるようになった。

審査における大きな変更点の最後は、中長期的な課題の記載が必要になった点です。
従来の審査項目でも以下のように課題の記載は求められていました。
補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。

 

しかし、新しい審査項目から
事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。
と変わりました。

 

ここでのポイントは、時間軸が明確に記載された点です。
従来は、補助事業の課題について、としか問われていなかったので、短期的な視点でも問題ありませんでした。
しかし、新しい審査項目では”中長期”的な視点でなければいけません。
こちらも3と近いのですが、事業の継続性が危ぶまれるような内容にもどんどん補助金を交付しているため、今後補助金で作られた事業がバタバタと廃業する可能性があります。
もしそのような事態になれば、国への批判も大きなものになってしまいます。
ですから、将来にわたって事業継続を行える状況を作り続けることができるのかを計画に盛り込ませるため、中長期的な課題が求められるようになったと推測しています。

 

これを踏まえると、中長期的な課題として書くべき内容も自ずと見えてきます。
再構築事業の事業継続が危ぶまれるような外部環境の変化や想定されるリスクに対して、どのように認識し、どのように対処する方針なのかを書くことがポイントではないでしょうか。

 

まとめ

ということで、第10回の事業再構築補助金から審査の観点が大きく変わっています。
これまでの書き方ですと不採択になる可能性が高くなりますのでご注意ください。
最後に、従来の審査項目と最新の審査項目、どのように変わったのかマッピングを図にしましたので参考にください。
それではまた。

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この記事を書いた人

平阪 靖規

平阪 靖規

2012年4月に「中小企業診断士」登録。2013年04月の独立後より補助金を始めとする中小企業施策の支援に従事。中小企業施策を企画する行政と利用する中小企業・小規模事業者の橋渡し役としての任務を全うすることに力を注いでいる。株式会社コムラッドファームジャパン 代表取締役。

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